黒部川
『第一話』
佐藤 亮 (サトウ アキラ)
~廃人アングラーに行き着く先はない~
2018年、軽い気持ちで応募したプレミアムチケットが当たった!
それまで歳をとったせいか、なかなか上がらなかったモチベーションに火が付いた。
しかし
その気持ちもわずかなきっかけで変わってしまう。
ハードな仕事で気持ちが途切れ、そして突如現れた海なし県の女神
夜の街からは最近始めたLINEに『遊びましょうよ♥』と
イカン イカン
4月初旬、堕落した自分を奮い立たせるため黒部川へ車を走らせる。
まずは調査だ!
初めて見る黒部川は愛本から始まる美しい扇状地の真ん中を流れ
その野性的な激流とバックに広がる立山連峰が堕落した私の汚れた心を洗い流す。
土手沿いに車を走らせると、所々に河川内に進入するルートがありアプローチは容易だ。
途中、地元組合員のベテランアングラーに出会い、しばし釣り談義
シーズン中多い年は二桁の釣果があるという。
うらやましい限りだ。
その後、監視員の方と毎週通っているというアングラーに話をいただいた。
勝負は5月だ!
GWに突入し、無理やり仕事を終わらせて車を走らせる。
片道600キロ
疲弊した体に根性を叩き込んでロッドを握りしめた。
しかし
シンキングルアーをカウントダウン中記憶がなくなる
・・・根性だけでは釣れません。
夕方近くまで車中で眠った私は亡霊のように河原をさまよった。
途中、投網でサクラマスを狙っている方に
『せっかく香川から来たのだから』と、とっておきのポイントを教えてくれた。
ありがとうございます。
それから数日後、3度目の挑戦は6日間の日程で最終戦に挑むことになった。
ただ、いつもの年なら5月が一番仕事の暇な時期なのだが
一つ大きな仕事が入ってしまった。
こんな時には先手を打つ必要がある。
それはお土産だ。
1店舗1日1本限定販売のサクラマスを使った『ますのすし』を送り付ける。
お願い事をするときの常とう手段だ!
『ますのすし美味しかったやろ~』
これで大抵のお願い事は聞いてくれる。
『タダより高いものはない』とはこのことだ。
5月11日夜ギリギリまで睡眠時間を削り、働き続けた私は
お土産を送った三人に仕事を押し付け、ミウラデザインの橋本氏と富山へ向かった。
翌朝、とっておきのポイントへ向かうが迷子になり、到着すると先行者が
ほかにも良さそうなポイントがあったので一流ししてみたが
反応もなく、気力も尽き果てた。
しばらくしてザワザワと釣り談義が聞こえて目が覚めた。
鱒中毒者と思われる御三方と橋本氏が自社のロッドを並べて語り合っている。
一人は総移動距離から計算すると、私より中毒症状は重い。
その輪のなかに私のミウラデザインP400黒部川仕様も並べられている。
今釣行での鱗付けは必須だ!
難題を抱えた仕事、疲労、釣らなければならないプレッシャーが重くのしかかる
しかし、今回は日程に余裕があるため早めに切り上げて温泉に浸かり
疲れをとることを優先した。
翌朝、スッキリしたコンディションで黒部の激流に挑む。
情報に惑わされず、ここぞ!と思えるポイントに入れた。
一流し目、出るならココか!と思えるポイントに差しかかった5:45分
初めてP400黒部川仕様が弧を描いた。
『ズシン ズシン』と伝わるその重量感
目測で60後半は間違いない。
ロッド、リール、ライン全て黒部川のモンスターを想定していたため
余裕で魚体をコントロールできる。
しかし、ネットが一回り小さい。
ちょっとリスクが大きいため岸ズリ上げを選択し、無事ランディング
いや、もうタマリマセン♪
69㎝黒部鱒にて鱗付け成功♪
いきなりこのサイズとは、黒部のポテンシャルは計り知れません。
その後Sさんに撮影してもらって、しばらく余韻に浸ったあとポイントに入り直し
サツキマス狙い風にボトムを狙った3投目、またまたP400が絞り込まれた!
サイズもさっきのと同じくらい。
ただ、少し色のついた遡上して少したった個体のよう。
今度も岸ズリ上げを選択し、ズリ上げ成功!
そこまでは良かったのですが、大暴れして川へ帰って行かれました。
午後からはアタリもなく、雨ということもあり、早めの納竿とし温泉で一息。
車中で心地よく眠りについた。
翌朝の川はカフェオレ
3日目は予想通り釣りが出来ないので終日TELとノートPCを駆使して仕事を片付けます。
4日目、残り二日で何とかなると安易な考えでトロッコ列車
余裕です。
危険です。!!
寒いです。
片道80分
切符売り場のお姉さんが『寒いですよ』と
忠告を聞いとけばよかった。
ガチガチ ブルブル
冷えた体は宇奈月温泉で温かく癒されました。
5日目
勝負どころですが、少し水位が高い。
朝一のポイントは不発でしたが、対岸下流で1本出た模様。
流量が120㌧ほどに落ちた午後3時、新幹線下でヒット!
しばらくファイトしたんですが、惜しくもフックアウト。
この釣りにはつきものですが・・
夕方にかけ、水位も増し始めたので早めの納竿とした。
6日目最終日
まだ水位は高いが水色は十分釣れるレベル。
しかし時間を追うごとに水位が増し、遂にはサイレンが
自然が相手なので仕方ありませんが、無念さが残ります。
ただ、サクラマスという魅力に満ち溢れた魚との出会い
そこから行き着く先の見えない世界へ足を踏み入れたような気がしてならない。
2018年5月17日
私の黒部川初挑戦は終わった・・・はずだったが
ここから思わぬ展開が・・・つづく!
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